割り勘とホフステードモデル 

その③
 

昨日に引き続き、その③をお送りします。以下、私とA 君の会話の続き。。

 
  • 私:『 無論、 さすがにそれはないよ 。例えば僕が昔上海に駐在していた時も、現地の得意先に宴会に招待してもらい、お礼の宴(答宴って言ったかな? )を開いたら、そのまた『答宴』があって、エンドレスで毎月の様に宴会 が数珠つなぎで開催されて 、一番若手だった僕は、宴会アレンジに加えて毎回『飲まされ役要員』 として乾杯攻撃の餌食になった苦い 経験があるよ。。笑。 』

  • A君 :『それじゃあ、やっぱり中国人だってお返しをするんだね。。そりゃそうだよな?』
    私:『いやいや、 ただ今話した例というのは、ビジネス上の付合いでは よくあるケース。。プライベートな付合いの場合、その『お返し』が概念がちょっと日本人のそれとはやっぱり違うんだよね 。。よく、日本語でも『カネは天下の廻りモノ』っていうじゃない? 強いて言えば、あんな感じかなあ? 別に、 B 君が A 君に奢ってくれたから必ずしも B 君が A 君にお返ししなくたって 良いわけ 。 つまり、日本人の様に 便宜を与えた側と享受した側が必ずしも『一対一対応』しているわけではないんだよ 。』

  • A君 :『つまり、 僕が例えば B 君から奢って貰ったら、 B 君にお返しするのでなく C 君に奢ってあげても良いって事?? 』

    私:『ん~~、まあそうと言えばそうなのだけどね。。 繰り返しになるけど、要は奢っている方も奢られる方も、便宜を与えている、享受しているって意識が一般的に 希薄なので、そういう持ち回り的な発想というのとも ちょっと 違う訳。強いて例えるなら、日本でも、先輩や上司 が 奢って くれそうになった 時にお代を出そうしたら、『いいよ、いいよ。いずれ A君が いつか どこかで 後輩に同じ様にしてあげればいいから気にするなって!』とか言われたことないかな 中国では、 たとえ 先輩後輩とかでない フラットな 人間関係 ( 同級生同士等 であっても、『長期スパンで広範囲な持ち回り』が 、 これと言って 特段の構えた 意識もなく行われているって感じ があるんだよね 。。』

  • 私:『 まあ、そんな感じで、お金持っていればそれを出す、 使える権力やコネ 持っていれば それを使う 、 お役立ち情報(含、個人情報 やそれから派生するコネ)があればそれを提供する 。みんながそういうものを 臨機応変にバンバン出し合いながら、 もちつもたれつで回っているのが中国社会。もちろん、全くの見も知らずの他人とそんなことはしないよ。でも友達の友達とか、そのまた友達とか、ちょっとでも自分と縁が出来た人とは、こういうもちつもたれつのサイクルが 猛スピードで 回転し始めるわけ 。そして、その頻度や密度が濃い人間同士の間で出来てくるものが、いわゆる『関係(グアンシー) 』 と呼ばれるものなわけ。 これはまあ 僕の解釈だけど、まあそう大きく外れていないとは思う よ 。。。 』

  • A君 :『 ん~。 そっか、つまり極端に言えば、『友達のお金(モノ)は自分のお金(モノ)、自分のお金(モノ)は友達のお金(モノ)』なんだね。。 』

  • 私:『という訳で、日本人って実はバリバリの集団主義ってわけではなく、もっともっと集団主義と言える国があるという事をわかってもらえたかな?ただ、 集団主義、個人主義という話は、文化を語る際、ある意味、誰でもがイメージしやすい話であるが故に、その用語の定義がかなり人によって研究者の間でさえ ぶれる傾向がある。定義をしっかり共有した上でないと議論がかみ合わないので、そこは注意しなければならないけどね。。。 』

  • A君 :『うん。中国の例との比較も聞けたお陰でやっと腹落ちしたよ!有難う~。』

  • 私 :『良かった!じっくり聞いてくれてありがとう。同じ様な説明を日本人はケチ、中国人は気前がいい!と思い込んでいるうちの中国人の嫁さんにも話してみたいんだけどねえ。。笑。まあ、関係が近すぎるが故にどうせ真面目に聞いどうせてくれないことはまあ間違いない。。。。『そんな小難しい屁理屈言っている暇あったらさっさと娘の宿題見て頂戴!』って一蹴されて終わりだよ。たぶん。。あ~近くて遠い国中国。。。。』

  • 私:『 ちなみに、この割り勘というやり方が 一般的かどうかが 、その国の人たちが 集団主義よりか個人主義的よりかを見分ける一つの有力な指標になるんじゃないかと僕は密かに興味を持っているんだよ。 だけど、デートの時や、上司や先輩と食事に行った時の支払いのやり方とかは除外しないとだめだけどね。 』

  • A君:『ん どうして だい ?』

  • 私:『 デート や上下関係のある人との食事も含めると、いわゆるその国のジェンダーとか、権力格差と言った別の次元の要素が混じってしまうからね。。だから、『自分と同性、且つフラットな関係性にある人との食事代をどう支払うか?』についての アンケート調査を 世界各国で横並びにやってみたら面白いと思うんだ。実は、ホフステードというオランダの学者が 世界 70 か国以上で 同時に行った大規模なアンケート調査の結果を元に 、 世界何十か国の国を集団主義寄りなのか ?或いは 個人主義寄りなのか?を 示したデータがあるんだよ 。 そこでは、 中国は相対的にかなり集団主義寄り、一方の日本はどちらとも言えない真ん中辺りという結果 。因みにアメリカは世界の中でも 圧倒的に個人主義とい う結果が出ている。 そのデータと、このアンケート調査結果を照らし合わせてみたらかなり相関関係があるんじゃないかと予想している。 まあ、既にどこかの学者 がやっているかもしれないけどね 。。 』

  • A君:『 へ~~!日本が世界の中では相対的に特に集団主義寄りでもないっていう結果はすごく意外!アメリカの思いっきり個人主義っていうのはなんとなくイメージと合致していたけどね。笑。それにしても、中国人って 随分日本人と違っていて面白いね。でも、なんかもちつもたれつっていうのもいいなあ。最近の日本の何というか殺伐とした人間関係に比べたら、温かそうでいいかもね。 』

  • 私:『そうだね!僕もそう思うところが沢山あるよ。。中国の友達や親戚と会っていると本当に温かくて 変に遠慮もしないでいいし、心地いいなあって思う事がたくさんあるね。。でもね、社会という単位でみると、こうした中国人、というか集団主義の特性は良い事ばかりではなく、 時には 必ずしも好ましくない 方向に働いてしまう事もあるんだよ 。。』

  • A君 :『え?どういうこと???』


続きはまた明日。。