割り勘とホフステードモデル 

その④
 

昨日に引き続き、その④をお送りします。以下、私とA 君の会話の続き。。

 
  • 私:『さっき、 A 君は、極端に言えば中国人の間では『友達のお金(モノ )は自分のお金(モノ )、自分のお金 モノ は友達のお金(モノ ) 』だっていうこと、納得してくれたよね?』

  • A君 :『うん、納得したよ。』

  • 私:『無論、 当然ながらこれは家族や親戚と言った関係でも同じことが言えるんだ。あと繰り返しになるけど、お金だけでなく、その人の持っている権力(権限) とか人脈(コネ) 、情報といったものも 、まあ 同じ様な扱いになるわけ。でも、ここでちょっと考えてみて欲しいの だけど、こういったものが自分を取り巻く近しい関係の人たち 、ここからは 内集団 の人たちって呼ぶね。緩~く、広く共有されるとどんな事が起こると思う?』

  • A君 :『ん~~。 さっき 好ましくない方向に。 。。 と 言っていたよね。となると、 そうだなあ、例えば賄賂や 裏口入学 、インサイダー取引とかの温床にもなるってこと? 』

  • 私:『鋭いね、その通り!。このもちつもたれつの互助集団である内集団というものは、ともするとその内集団の利益のみを追求するいわゆる 利益集団となってしまう側面もあるわけなんだ。ただ、互助集団(語感良し!) と 呼ぶのと、 利益集団(語感悪し!)と 呼ぶのとでは、随分とニュアンスが異なるのだけれども、無論その両者の間に明確な線引きがあるわけではないんだよね。。この辺りが非常に難しい。。 』

  • 私:『 とにかく中国では、誰もが生まれた時から地縁や血縁といった形で、こういうネットワークに組み込まれていて、更に成長するに従っ
    て自ら独自の内集団を開拓し増殖させながら人生を送っていくのが基本。その内集団の助けがなくては、日常生活もビジネスもとてもじゃないけど成り立たない。だから、基本的に自分にとっての内集団を裏切らない事、それこそが中国社会で生きていく上での大原則になるんだ。 端的に言えば、中国では個人と集団の境目が極めて曖昧模糊としているって事かな 。 』

  • A君 :『そうなんだ。。。何だか聞いていると、さっきの印象とは打って変わってなんか中国での人間関係って、息が詰まりそうだなあ。。人間関係でがんじがらめって感じがする。。勿論、日本だって一人じゃ生きていけないし、コネだってないよりあった方がいいけど、別になくても自分で頑張れば何とか生きていけるしなあ 。。 』

  • 私:『 確かに A 君に言う事も一理あるね。 。 実は、うちの奥さんもそういう中国社会の中でやっていく気持ちに 今一つ慣れなかったことが、日本に居ついた一つの理由でもあるんだ。。 』

  • 私:『とにもかくにも、内集団の中においては、最初に話した食事代の話が象徴している様に、要するに、『カネ持っている人は使いなさい、力持っている人は出しなさい、コネ持っている人は使いなさい、情報持っている人は出しなさい』と言った暗黙の合意が あるわけ。逆に言えば、内集団の他のメンバーが持たないものを持っているにも拘らず、それ相応の還元をしない人間は、集団内で全く評価されないし、 いくらお金や地位が あ っても人でなし呼ばわりされて皆が離れて行ってしまう訳。』

  • A君 :『 そうか、中国はコネ社会って聞いたけど、そういう 背景があるの か。 でもさ、それだと本当に公私の区別が付かないよね。会社の機密情報だって、それが内集団のメンバーも求める情報だったら提供しなきゃいけない訳でしょ?』

  • 私:『 まあ、 ざっくり言えば そういう事 にもなるね。。笑。ところで、 A 君、いまいいポイントに気づいたね。『公私の区別』って日本でもよく使うよね。あいつは公私の区別かなっとらん!とか。。公私の『私』の定義の日本や欧米諸国との違いが、実は中国社会をざっくり理解する為の大事な ポイントなんだ。 もうちょっと イメージが 湧きやすい様 にここで 一つたとえ話をするね。』

  • 私:『たとえば A 君は、週の殆どを客先に訪問する外回りの営業マンとするね。その為、オフィスへの通勤や外回りの為に社有車を貸与されて特別に家まで毎日乗って帰っても良いと言われたとしよう。更に、外回り先も毎晩遠くて帰宅が遅くなるので大きく通勤ルートを外れなければ、行き先と日付を記録する事を条件に、買い物等のプライベートの用事に使う事も許可されたとしよう。さてさて、ある暇な 日曜日、近所で世話になっている夫婦(← A 君の車は社有車だという事を知っている) が海外旅行に行くので、成田空港まで車で連れて行ってくれないか?と言われたとする。 A君だったらどうする? 』

  • A君:『ん それはちょっと迷うなあ。。。 いくら世話になっていると言っても、 それって公私混同だよね。申し訳ないけど丁重に断るね。。というか図々しすぎるよ、その夫婦。。 だって社有車だぜ。。 』
 

因みに、上記のたとえ話は、私の義弟(妻の妹の旦那)の取っている行動をベースに脚色したものです。さて、仮にA 君が典型的な中国人だったらどの様な行動に出るのでしょうか? またその行動を取る理由はどうしてでしょうか?

 

続きはまた明日。。