その1 高い男性性から見た「お弁当」

 
海外の普通の生徒を家族の一員として受け入れる交換留学プログラム。
サポート現場から見えてきた日本文化の特徴とは?

|たかが弁当、されど弁当

 

日本のお母さんにとってお弁当作りは朝の大仕事。早起きして赤、黄、緑と彩り豊かで栄養バランスの取れたお弁当を「はいっ」と子どもに持たせる・・・しかしこのお弁当が、海外の留学生を受け入れ始めてしばらく経つと、かなりの頻度で問題になります。

 

あるホストマザーは心を込めて作った弁当が無残にもゴミ箱に残飯として捨てられているのを見てショックで呆然。ある生徒は空気を察して、さすがに家では捨てにくかったのか、学校でこっそり捨てていたのがバレて、私たち支援カウンセラー*が呼ばれることになりました。

 

日本人の感覚ではお母さんの愛情の証である弁当を残したり捨てることは「罪悪」に近いものがあります。弁当を捨られたことでお母さん側が自分の存在を否定された、とまで感じるケースもあり、事は深刻です。

 
 

|日本と異なるランチの感覚

 

海外でも有名な日本のキャラ弁。日本人の緻密さ、美的センス、型へのこだわり、すべてを象徴する文化の1つです。BENTOという言葉は今ではフランス語の辞書にも載っているとか。運動会の日に家族で囲む色とりどりのお弁当、花見弁当、幕の内弁当、松花堂弁当、駅弁・・・お弁当は地域性であり、ハレでもあり、私たちの生活に彩を添えてくれる、もはやアートの域といっても良いでしょう。

 

ではこの日本人の飽くなき完璧さの追及はどこから生まれるのでしょうか?

 

ホフステートの6次元モデルに「男性性と女性性」という指標があります。男性性の強い国民文化では「競争、熟達、業績」といった「がんばること」を奨励します。一方で女性性の強い社会では「生活の質重視、人との関係、弱者をいたわる」という価値観を大切にする傾向があります。

 

日本の「男性性」のスコアは95と世界でも抜きん出て高くなっています。そこからは「努力を惜しまず家族のために毎日がんばる」お母さんの姿が見えてきます。「がんばる」からこそ「お残しは許されない」訳です。

 

留学生が弁当を残すことに悩んでいたあるホストマザーは、思い余ってあんぱん数個を弁当に持たせたところ、「お母さんありがとう!」と初めて生徒に感謝されて気が抜けた・・・と語ってくれました。それからは生徒の好物を中心にした「手抜き弁当」を持たせることで、お母さんはストレスから解放され、生徒も毎日弁当を残さず食べるようになったそうです。

 

「お弁当は頑張って作るもの」
という固定概念を捨てて、肩の力を抜くのが一番の解決策かも知れません。

 
日本の6次元指数

日本の6次元指数 出所 hofstede-insights.com