ナレッジ講座 応用コース 徹底解剖!

2025年3月29日9~16時(休憩含む)、CQラボはナレッジ講座・応用コースをオンラインにて開催しました。
基礎講座受講済の2名が参加し、講義とともにワークを行いながら進んでいきました。

基礎講座では、文化が私たちに与える影響に気付くとともに、日本と他国の文化の違いと共通点を認知することを学びました。
応用講座では、CQ開発を通して、違いを経験する世界観を育成し、違いに橋を架け、違いを活用できる基盤をつくります。文化的差異を理解し、より深いレベルでコミュニケーションを行うための学びの場となっていました。

講座の内容や参加者の感想をご紹介します。

 

当日の流れ

 チェックイン

 CQとは? 4つのコンピテンシー

 CQドライブ:CQの発達段階

 CQナレッジ①:自己理解&他者理解&相互理解を深める

 CQナレッジ②:6次元を振り返る

 CQナレッジからCQストラテジーへ①:ステレオタイプと一般化

 CQナレッジからCQストラテジーへ②:視点転換

 CQストラテジーからアクションへ①:ケーススタディ

 CQストラテジーからアクションへ②:アクションの要素とCQ開発

 チェックアウト

CQとは? 4つのコンピテンシー

まずはチェックインとして、自己紹介と講座への期待、今の気持ちについて、CQラボフェロー・CQ認定ファシリテーターの田代礼子と参加者が話しました。
その後、CQについて簡単に振り返り、4つのコンピテンシーを再確認しました。

CQには4つのコンピテンシーがあります。
1つ目は「CQドライブ」。異文化の人たちとつながり、協働したいという動機づけや自己効力感に関わる部分です。
2つ目は「CQナレッジ」。文化の共通点や相違点を、文化次元などの理論を通して理解する知識の部分です。
これらを踏まえて、3つ目の「CQストラテジー」、つまり異文化状況を理解し戦略を立てる力が発揮されます。
そして4つ目の「CQアクション」。実際に行動に移し、相手とのやり取りを通して改善していく力です。

ナレッジ講座・応用コースでは、この4つのコンピテンシーをバランスよく扱います。

 

CQドライブ:CQの発達段階

参加者は事前に、異文化意識開発®プロファイル(DPIC)を受検しています。
Milton Bennettの異文化感受性発達モデル(DMIS)をもとに、異文化コミュニケーション研究者の山本志都氏が、実証研究により開発した理論に基づく測定ツールです。

CQが高まると、違いに対する世界の見え方が大きく変わっていきます。大きく分けて2つの見え方があります。
1つは「自文化中心主義(エスノセントリック)」的な見方、もう1つは「文化相対主義(エスノレラティブ)」的な見方です。
前者は自分の価値観の眼鏡で世界を見るのに対し、後者は複数の眼鏡を使い分けながら、相手の普通も理解する姿勢を持ちます。表面的なマナーではなく、価値観レベルでの理解ができるようになる段階です。
この2つをさらに分けて考えるのが、DPICから見える5つの発達段階のフェーズです。

異文化意識の発達段階を表す5つのフェーズは以下のようになっています。

・フェーズ1:違いへの無知・無関心

・フェーズ2:違いへの防衛

・フェーズ3:最小化(最も多くの人がいるフェーズ)

・フェーズ4:相対化

・フェーズ5:違いとの共創

この5段階ははっきり区切れるものではなく、グラデーション的に発達していきます。また、組織も人と同様にこの発達段階を持っています。

 

CQナレッジ①:自己理解&他者理解&相互理解を深める

 

オランダの社会心理学者 ヘールト・ホフステード が提唱した「文化の玉ねぎモデル」について見ていきました。
玉ねぎの層を外側から順に見ていくと、次のようになります。

1.シンボル(Symbol)
2.英雄・ロールモデル(Heroes / Role Models)
3.儀礼・決まりごと(Rituals)
4.価値観(Values)(最も内側のコア部分)

 

このモデルは、組織文化と国民文化の双方を説明する枠組みとして使われます。
文化には「外から見える層」と「内に隠れた層」があり、それぞれが密接に関係しています。そして、どの組織にもこの玉ねぎ構造が存在しており、外側のシンボルや儀礼は、内側の価値観を反映しているのです。

ここまでの説明を踏まえて、参加者が所属している組織や集団について、玉ねぎモデルの各層(シンボル、ロールモデル、儀礼・決まりごと、価値観)を考えるワークを行いました。
さらに、各層を踏まえて、玉ねぎモデルを実際の組織運営や自己理解にどう活かせるかを考え、共有しました。

 

CQナレッジ②:6次元を振り返る

 

ホフステード博士の6次元モデルのうち、集団主義・個人主義、権力格差、不確実性の回避・曖昧さの許容、達成志向・生活の質志向の4次元については基礎コースで学んでいます。この4次元については、ミニクイズを交えて振り返りました。
応用コースでは、時間志向人生の楽しみ方について、その特徴と事例を学びます。また、日本や世界のスコアと参加者のスコアを比較して、感じたことを共有しました。
6次元を振り返ると、それぞれが独立しているようでいて、実は相互に影響し合っていることがわかります。この6次元を理解することで、異文化の中で相手をより深く理解し、また、自分自身の価値観を客観的に見つめ直すことができます。

さらに、各国のいくつかのことわざを紹介。そのことわざが、どの文化次元を反映したものなのかを考えながら、文化や価値観を反映していることを学びました。

 

CQナレッジからCQストラテジーへ①:ステレオタイプと一般化

 

次に、「ステレオタイプ」と「一般化」について、大切なポイントとして触れられました。
まず、「特定の人や物事に対して広く信じられている、固定的で過度に単純化されたイメージや考え方」というステレオタイプの定義を確認。これは「思考の終着点」と呼ばれますが、ホフステードの文化次元モデルを学ぶ目的は、この「終着点」に立つことではなく、「私たちの当たり前」を疑う思考の始発点として、この知識を使うためです。

たとえば、ステレオタイプ的な見方をすると、「日本人はみんな慎重で怖がりだから、明日会うAさんもきっとそうだ」と決めつけてしまうかもしれません。そうすると、その人個人に対する好奇心や関心が失われてしまいます。

一方で、文化的な一般化(ジェネラリゼーション)の視点を持っていれば、 「日本人は一般的に不確実性回避の傾向が高いけれど、Aさんはどんな人だろう?」と考え、相手への探求心や理解の意欲が生まれます。
文化次元の知識は、そこを出発点として個人を理解していくことができるのです。

ステレオタイプについて学んだ後、ワークを実施。所属する集団の一般的なイメージや、実際にその集団にいる人が当てはまっているか、ステレオタイプによるポジティブな影響とネガティブな影響などについてシェアしました。

 

CQナレッジからCQストラテジーへ②:視点転換

 

次に、「視点転換(パースペクティブ・テイキング)」というキーワードについて見ていきました。これは、異文化理解や多様性のトレーニングで非常によく使われる重要な考え方です。

まず、自分とは異なる背景を持つ人に対して、当初の印象が大きく違っていたという経験を思い出してみました。
そして、以前話題になった「僕のお父さんは桃太郎という人に殺されました」という広告や、アメリカの映画の一部から、1つの出来事でも、何をどう見るかによって世界の見え方は大きく変わることを学びました。

視点転換は、行動変容を促す非常に効果的な方法として、多くの組織でも取り入れられています。特に近年は、ダイバーシティ&インクルージョンの文脈で注目され、実践的な成果をあげています。
視点転換によって、「単一文化的な見方」から、複数のメガネを掛け替えて物事を多面的に見ることができるようになります。
そのための基本ステップは、自分のメガネに気づくそのメガネをいったん外す相手の背景・文化に好奇心を向ける相手の視点から世界を見てみるの4つのステップです。
これらの例から、コミュニケーションの変化についてのワークを行い、その根底にある価値観についてシェアしました。

 

CQストラテジーからアクションへ①:ケーススタディ

 

ここまで学んだ「ストラテジー(戦略)」の話から、もう少し「アクション(実践)」寄りの体験として、直接的・間接的コミュニケーションのロールプレイを行いました。実際に体験することで、その違いを感じてみます。
4つのロールプレイを行い、それぞれの立場で感じたことをシェア。さらに、どの文化次元によって起こる相違なのかの解説がされました。

 

CQストラテジーからアクションへ②:アクションの要素とCQ開発

 

最後に、ストラテジーからアクションへ移すときに、何が必要かについて学びました。
さまざまな出来事や状況が起きてきて、そこにはある程度のパターンもあります。
その中で、自分らしさを大切にしながら、相手との違いを受け止め、融合(フュージョン)していくことが大切です。

文化の深い価値観というのは、「木の根っこ」や「氷山の下」にあるもの。日常で調整していくのは、表面に出ている「見える部分」、つまりコミュニケーション行動です。
日本企業からアメリカ企業へ転職し、プレゼンを行ったBさんの事例から、文化に応じてコミュニケーションの工夫が必要であることを学びました。
そして、CQを高めるためのポイントと落とし穴が田代氏から共有されました。

 

受講者の感想

 

最後に、講座参加者にうかがった感想・ご意見を紹介します

「今までは、日本とどこかの国が、それぞれ二項対立で実態があるもののように考えてきました。しかし、 ”中国とはこうだ”などと一括りに語ってしまうのは非常に危険であり、”AはBとこう違う”という違い方のレベルで話をしないといけないと感じました。文化の違いはもっと相対的なものであり、単純化してはいけないということです。今日の講座で少し外の世界をのぞけたような感覚がありました。国や文化圏によって捉え方が違うということを意識しながら、少しずつ自分の視野を広げていきたいと思います」

「今回改めて学んでいて感じたのは、人が大切にしているものには、自覚的なものもあれば無意識なものもあるということです。氷山モデルのように、表には見えない価値観がたくさんあるのだと気付きました。そうした価値観は、自分で意図的に育ててきたものというより、生まれた環境や家庭、社会の中で自然に刷り込まれたり、インプットされてきたものだからこそ、簡単には変えられない、お互いに尊重すべきものです。相手と話が通じないと感じるときでも、背景を想像し、対話を重ねていけたら素敵だと思います」

今後の開催予定

次回は12月21日(日)に開催されます。

 

自身のCQ発達段階を客観的に把握できる、DPICアセスメント付きです。

 

 

 

【こんな方におすすめ】

 

  • 組織にどう多様性を取り入れ、活用すればよいのか悩むマネージャー、人事のご担当者
  • ご自身のコーチングに組織的な視点を取り入れたいコーチの方
  • マーケティング戦略に多様な視点を取り入れたい企画ご担当者
  • アジャイルな組織を目指すリーダーの方
  • 「違いに橋を架けるスキル」を学びたいと思われているすべての方が対象です!

(教育関係者、NPO関係者、子育て中の親御さんなど)

  • 国内外で通用する世界標準のスキル(CQ力)を身に着けたい方
  • ご自身の文化的アンコンシャスバイアスに気づきたい方
  • 世界的なアセスメントでご自身の文化的傾向を可視化したい方
  • 世界と日本の文化的傾向を理解したい方
  • 違いに対する世界観の発達段階に興味のある方

 

 

詳細・お申込みはこちらから

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一般社団法人CQラボは、ホフステードCWQの日本オフィシャルパートナーとして、カルチャーに関してトータルな学びを提供しています。CQ®(Cultural Intelligence)とは…「様々な文化的背景の中で、効果的に協働し成果を出す力」のこと。CQは21世紀を生き抜く本質的なスキルです。Googleやスターバックス、コカコーラ、米軍、ハーバード大学、英国のNHS(​​​​国民保険サービス)など、世界のトップ企業や政府/教育機関がCQ研修を取り入れ、活用されています。

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