CQ養成講座 基礎コース 徹底解剖!
2024年5月11日、CQラボ養成講座・基礎コースを東京・目黒にて開催しました。
リアルでの開催は数年ぶりで、CQに興味をもつ7名が集まりました。
CQについて講義で学ぶと同時に、ロールプレイで異文化の立場になりきることで理解を深めることが、本講座の特徴です。
10〜17時と長丁場にも関わらず、終始積極的な意見交換が交わされながら進んでいきました。
講座の内容や参加者の感想をご紹介します。
当日の流れ
チェックイン
導入:異⽂化適応⼒とは? ⽂化とは?
ホフステード6次元モデル前半
ー昼休憩ー
ホフステード6次元モデル後半
各次元の体験ロールプレイ
次元の組み合わせと⽇本⽂化
チェックアウト
人事担当者や組織コンサルタント、仕事で外国人と接する人が参加
まずはチェックインとして、自己紹介と講座への期待、今の気持ちについて、ファシリテーターのCQラボ理事 横山十祉子と参加者が話しました。
参加者は、企業の人事担当者や組織コンサルタント、外国人と接する機会の多い公務員、ビジネスコーチなど。
異文化の人と関わる機会が多く、なぜCQを学びたいと思ったのか、それぞれの仕事でCQをどのように活用したいかなど、序盤から熱いトークが繰り広げられました。
参加者は事前に、自分の文化的傾向がわかる「CWQアセスメント」を受検しています。参加者のスコアを匿名で共有しました。
それぞれのスコアと日本人の平均スコアと比較すると、大きく異なる数値が出ているものもあり、驚きを分かち合いました。
CQとホフステード博士の6次元モデルについてインプット
チェックアウト終了後、講義の導入として、文化、CQ、ホフステード博士の6次元モデルについてのインプットを行いました。
CQとは、Cultural Intelligence(異⽂化適応⼒)、つまり「⾃分と考えの異なる⼈たちと効果的に協働する力」のことです。
CQは4つのケーパビリティから成り、これらは誰にでも開発できる能力です。
動画やスライドを使って、「異文化」への対応の現状や、CQを学んで得られること、どうすれば4つのケーパビリティを高めて異文化に適応していけるかなどを学びます。
そして、ホフステード博士の6次元モデルのうち、集団主義・個人主義、権力格差、不確実性の回避・受容、達成志向・生活の質志向の4次元について、特徴を説明。同時に、参加者に自身がこれらの次元の違いを感じた経験についてシェアしました。
各次元の説明において、参加者のスコアを見たり、経験を共有したりすることで、より自分事として考えられる機会にしています。
ホフステードの6次元モデルについてもっと詳しく知りたい方は、『多文化世界 違いを学び未来への道を探る [原書第3版]』G.ホフステード/G.J.ホフステード/M.ミンコフ 著 岩井八郎/岩井紀子 翻訳、『経営戦略としての異文化適応力 ホフステードの6次元モデル実践的活用法』宮森千嘉子/宮林隆吉 著 をご覧ください。
ロールプレイで「わかり合えない」を体感する
今回の講座の目玉は、体験ロールプレイです。
この体験ロールプレイは、学んだ4つの次元について、例に出される人になりきって発言するものです。
それぞれの次元で、スコアの差がある2人のやりとりの具体的な場面が提示されます。その場面において、スコアが高い人はどのような発言をするか、スコアが低い人はそれに対してどのように返答するかを想像するのです。
参加者は2グループに分かれ、ある次元のスコアが高い人または低い人になりきります。
その場面の着地点(決裂も含む)に到達したら、同じ場面を逆の立場で行います。
すらすら言葉が出てくる場面もあれば、グループみんなが言葉に詰まってしまうこともありました。
これは、自分のスコアに近い立場であれば想像しやすい一方、スコアに差があると言動・行動が想像できないためです。
例のなかで、実際にとった行動がわかっていてなお、なぜその行動をとったのか、そのときにどのような発言をしたのかがまったくわからないことに、参加者は驚きを隠せない様子でした。
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<ロールプレイの例> 権力格差
米シカゴ郊外のシステム会社。プロジェクトマネージャーのアメリカ人スーザンはフラストレーションを感じていた。テクニカルチームリーダーのインド人ナディールから重要顧客の納期に間に合わないとメールが入ったのだ。
スーザンはナディールをオフィスに呼び、怒りを隠すことができなかった。
「ナディール、納期については一昨日も確認しましたよね。あなたは間に合うと約束しましたよ」
それを聞いてナディールは驚きました。約束したつもりはなかったのです。
3日前、スーザンはナディールにデッドラインを確認し、予定通りに進んでいるか聞きました。そこでのナディールの返事は「ベストを尽くします」「同僚に確認します」というものでした。
「遅れは許されない」というスーザンに対して、ナディールは「わかりました」と言っているのです。
このような場面の提示を見て、スーザンチームとナディールチームに分かれ、それぞれの発言をイメージしてやりとりを行います。
なぜ、ナディールは「わかりました」と答えているのか、権力格差のスコアをもとに想像するのです。
※この例は『経営戦略としての異文化適応力 ホフステードの6次元モデル実践的活用法』
宮森千嘉子/宮林隆吉 著 から抜粋したものです
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両グループがロールプレイを終えると、各次元ごとに、ファシリテーターから言動・行動の背景にある文化が解説されます。
解説を聞くと、「まったくわからない」から「理解はできる」という状態になりました。
まさにCQを体感したといえるでしょう。
「理解できる」から「適応できる」状態になるには、さらに上級コースで学ぶことが必要です。とはいえ、理解するだけでも、実生活で異文化の人と関わるうえでは大きな前進となります。
書籍などを通してCQを学び、なんとなくわかった気になっていた異文化間のコミュニケーションの難しさを、ロールプレイによって体感できるのです。
わからないことがわかり、その背景を知ることで、共感できなくても理解できるようになります。
自分とは異なる他者を知り、仕事や実生活で活用できる
講座の最後に参加者にうかがった感想および、講座後にSNSなどに投稿してくださったご意見を紹介します。
「事前にホフステードCWQを受けたところ、如実に『私』という人間が出ていて面白いと思いました。中間管理職として上下のメンバーの傾向を理解して、橋を架ける方法のヒントを得られました。今後、他国の方に仕事をお願いするときにも、伝え方などを工夫するポイントが少しつかめたと思います」
「わかり合えないことがあると、体感でわかりました。文化を知ることで、少しでも理解できるように現場の人に働きかけたいと思います。日本の文化については、不確実性の回避や達成志向など、組織に対して変えたいとメッセージを出しても変わりにくい現状があります。そのようななか、どうしたらうまくやっていけるのか考えていきたいです」
「ロールプレイで、自分の傾向と異なる人について、説明を聞いても理解できない部分がありました。実生活でも、理解できないことによって、他者を傷つけているかもしれない可能性に気づけました。講座で学んだことを、日々の生活や仕事で活かしていきたいと思います」
「自分を知るツールをいくつか試し、背景を知ることで、理解できない相手のことを面白いと感じられるようになるのではないかと思い、講座を受けました。実際、ロールプレイでは理解できないながらも、『なるほど』と思えることがありました。6次元モデルを踏まえて組織運営すると、組織がよくなっていくのではないかと思います。これまでの体験で疑問に思っていたことについて、理解が進みました」
「自分が当たり前だと思っていることが、文化が違うと当たり前ではないことに改めて気づきました。これまでも6次元モデルについて学んできたつもりでしたが、ロールプレイによって、より深く体感できました。ほかのスキルと組み合わせて、仕事のなかで活用していきたいと思います」
「講義で『日本人は他者の気持ちを考えられるからロールプレイが得意』と聞き、日本人のよさを感じました。グローバルな仕事は、これまで西洋の文化に適応できる人しか対応できないと考えていましたが、この講座を受けて日本のよさを対等にテーブルに出して作り上げていきたいと思うようになりました」
「事前に自分の思考のクセや好みを知るホフステードCWQアセスメントを受けてから参加するので、講座の内容を自分の体感や体験に寄せて捉えることができました。違うことを頭で理解するというより身体で覚えられました。ロールプレイでの、良かれと思っているのに、会話すればするほど泥沼にはまっていく体験は、夫と喧嘩する時の感覚に似ています。違いがあることに気づかないままに会話してずれていくときは、「主張が8割、相手に正解を求める質問が2割」だと気づきました。でもそこに、双方に共通する目的を握りなおしたうえで相手の意図を確認しようとする『問い』が入ると、緊張が和らぐのです。キーワードを仕事のメンバーに共有し、必要なときに取り出せるように、学び、実践し続けておこうと思います」
次回は7月11日(木)開催
5月11日と同じ内容の講座が、7月11日(木)にも開催されます。
自分の文化的傾向がわかるホフステードCWQアセスメント付きです。
【こんな方におすすめ】
- 組織にどう多様性を取り入れ、活用すればよいのか悩むマネージャー、人事のご担当者
- ご自身のコーチングに組織的な視点を取り入れたいコーチ、コンサルタントの方
- マーケティング戦略に多様な視点を取り入れたい企画ご担当者
- アジャイルな組織を目指すリーダーの方
- 「違いに橋を架けるスキル」を学びたいと思われているすべての方(教育関係者、NPO関係者、子育て中の親御さんなど)
- 国内外で通用する世界標準のスキル(CQ力)を身に付けたい方
- ご自身の文化的アンコンシャスバイアスに気づきたい方
- 世界的なアセスメントでご自身の文化的傾向を可視化したい方
- 世界と日本の文化的傾向を理解したい方
- 違いに対する世界観の発達段階に興味のある方
詳細・お申込みはこちらから
一般社団法人CQラボは、ホフステードCWQの日本オフィシャルパートナーとして、カルチャーに関してトータルな学びを提供しています。CQ®(Cultural Intelligence)とは…「様々な文化的背景の中で、効果的に協働し成果を出す力」のこと。CQは21世紀を生き抜く本質的なスキルです。Googleやスターバックス、コカコーラ、米軍、ハーバード大学、英国のNHS(国民保険サービス)など、世界のトップ企業や政府/教育機関がCQ研修を取り入れ、活用されています。
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