ホフステード6次元モデル「集団主義・個人主義」とは<6次元モデル③>
ホフステードの6次元モデルの2つめとして、集団主義・個人主義についてご説明します。
国境を超えたビジネスでは、集団主義か個人主義か、各国のスコアに合わせてコミュニケーションを変えていく必要があります。
集団主義・個人主義は、集団と個人どちらの利害が優先されるか
集団主義とは、自分を集団の一部とみなす態度であり、個人主義とは自分を本質的に個人とみなす態度であると一般的にいわれています。
ホフステード博士は、内集団の利害が個人の利害より優先される社会を「集団主義社会」、個人の利害が内集団の利害より優先される社会を「集団主義社会」と呼び、以下のように定義しました。
個人主義・集団主義の傾向は、社会システムのなかでも特に教育現場、経済システム、情報インフラに大きな影響を与えています。
集団主義の国の特徴
・人は内集団のなかに産まれて、その集団に忠誠を誓うかぎり保護される
・子どもは「私たち」という視点から物事を考えることを学ぶ
・内集団と外集団では、価値観の基準が異なり、排他主義的である
・内集団のなかでは常に調和が保たれ、直接対決は忌避される
・不法行為を起こすことは、本人と内集団にとって恥であある
・資産は親族と共有する
・コミュニケーションは状況に左右されやすい
集団主義の国では、たいていの場合、子どもは拡大家族のなかで育ち、このつながりは内集団と呼ばれます。
内集団の外には排他的な態度で接するようになり、内集団で調和を保つことを大切にした、間接的なコミュニケーションが主流です。
個人主義の国の特徴
・成人すれば、自分と身近な家族だけの面倒をみればよい
・子どもは「私」という視点から物事を考えることを学ぶ
・すべての人に対して同じ価値観が適用され、普遍主義的である
・自分の心の内を語る人が誠実な人とされる
・不法行為を起こすことは、罪の意識を掻き立て、自尊心を傷つける
・所有権は個人のものであり、子どもとも共有しない
・コミュニケーションは状況に左右されにくい
個人主義の国では、子どもは核家族のなかで育ちます。
心のうちを語ること、真実を語ることが誠実な人間の特徴とされ、意見の衝突はさらに高次な結果につながると考えられています。そのため、明白で直接的なコミュニケーションが行われます。
スコアは真ん中の日本、相手国に合わせてアップデートが必要
日本は、自分たちを集団主義と思い込みがちですが、世界のなかで真ん中です。
アングロサクソン諸国や北欧などと比較すると集団主義ですが、中国、東南アジア、中東、中南米などと比較すると個人主義がかなり強いのです。
昨今広がっているアクティブラーニングは、教師が一方的に教えるのではなく、生徒が自ら考え意見を発信することで、自ら考えて学ぶ力を養うといわれています。これは、個人主義の国で浸透しているものです。
一方、集団主義の国では、自然にディスカッションが生まれることはありません。
グローバルビジネスを行う場合は、パートナーの国が個人主義か集団主義かによって、コミュニケーション方法を変える必要があります。
それぞれの国と向き合うために、自分のどの部分をアップデートすべきなのかを考え、行動することが大切です。
ホフステードの6次元モデルについてもっと詳しく知りたい方は、『多文化世界 違いを学び未来への道を探る [原書第3版]』G.ホフステード/G.J.ホフステード/M.ミンコフ 著 岩井八郎/岩井紀子 翻訳、『経営戦略としての異文化適応力 ホフステードの6次元モデル実践的活用法』宮森千嘉子/宮林隆吉 著 をご覧ください。
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