集団主義・個人主義の例 日本の非公式ミーティング<6次元モデル⑨>

これまで、ホフステード6次元モデルについて説明してきました。
これらの次元の違いによって、どのようなことが起こるのか、事例を紹介していきます。

集団主義・個人主義とは、内集団の利害と個人の利害のどちらが優先される社会かです。
次元の詳細はこちらをご覧ください。

日本の非公式ミーティング

米系保険会社で働くあるアメリカ人デービッドは、日本に駐在することになりました。日本の保険市場はグローバルで見ても大きく、その経験は将来のキャリアに活きることは間違いなく、また、日本の文化はユニークで魅力的だと、新しい環境で働くことを楽しみにしていました。
デービッドは、日本の非公式ミーティングの多さに驚き、ビジネススクールの同級生マサとこんな話をします。
デ「打合せとは、議論する場だと思っていたが、オフィシャルな打合せのための非公式なミーティングで、何を言うつもりか事前にヒアリングをしている。なんであんなことをやっているのか不思議だ」
マ「上の人たちも面子があるから、皆の前で議論して、誰かが誰かを論破してしまうと、うまくいくものもいかなくなってしまう。丸く収められるように落としどころを見つけておくことも仕事なんだ。忖度して動いているんだ」

『経営戦略としての異文化適応力 ホフステードの6次元モデル実践的活用法』
宮森千嘉子/宮林隆吉 著

ホフステード6次元モデルから見る、個人主義と権力主義

日本は世界的に見ると個人主義と集団主義のスコアはほぼ真ん中です。しかし、もっとも個人主義スコアの高いアメリカと比べると、集団主義の傾向が高いといえるでしょう。

例に挙げた「面子」は集団主義を語るキーワードのひとつです。
個人主義の高い国では、議論を戦わせてよりよいアイデアを見つけ出すことは当たり前ですが、日本では公の場で議論することは上司の面子を失わせるリスクがあるものとなります。

集団主義的な国は、自然にディスカッションが生まれることはなく、日本よりさらに集団主義の高い国では、集団の一員えある自分が集団の許可なしに発言すべきではないという自制が働きます。
対立を避けるために、相手の意図を推し量ることを大切にするため、間接的なコミュニケーションが主流になります。これが、「非公式ミーティング」の開催の理由といえるでしょう。

ホフステードの6次元モデルについてもっと詳しく知りたい方は、『多文化世界 違いを学び未来への道を探る [原書第3版]G.ホフステード/G.J.ホフステード/M.ミンコフ 著 岩井八郎/岩井紀子 翻訳、『経営戦略としての異文化適応力 ホフステードの6次元モデル実践的活用法』宮森千嘉子/宮林隆吉 著 をご覧ください。

一般社団法人CQラボは、ホフステードCWQの日本オフィシャルパートナーとして、カルチャーに関してトータルな学びを提供しています。CQ®(Cultural Intelligence)とは…「様々な文化的背景の中で、効果的に協働し成果を出す力」のこと。CQは21世紀を生き抜く本質的なスキルです。Googleやスターバックス、コカコーラ、米軍、ハーバード大学、英国のNHS(​​​​国民保険サービス)など、世界のトップ企業や政府/教育機関がCQ研修を取り入れ、活用されています。

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