短期志向・長期志向の例 木を見るか森を見るか<6次元モデル⑫>
これまで、ホフステード6次元モデルについて説明してきました。
これらの次元の違いによって、どのようなことが起こるのか、事例を紹介していきます。
集団主義・個人主義とは、内集団の利害と個人の利害のどちらが優先される社会かです。
次元の詳細はこちらをご覧ください。
木を見るか、森を見るか
宮森が1週間のコーポレート・コミュニケーションリーダー育成トレーニングに参加したときのこと。ブラジルでの新製品コミュニケーション戦略立案を担当することになりました。
サトウキビを使ったバイオガスエンジンのストーリーを、広告、イベント、PR、インターネットを効果的に使ったメディアミックスで魅力的にアピールしなくてはなりません。
チームのメンバーは、アメリカ人3人、メキシコ、UAE、ブラジル、日本から各1人の構成です。最終日にグローバルのコミュニケーション責任者にプレゼンし、そこでトレーニング終了となります。
ミーティングが始まると、影響力のあるメディア、出稿金額、メディアリストなど、ブラジル人メンバーが質問攻めに。プロモーションの戦術がどんどん決まっていく様子に異を唱えたのは、日本人である宮森だけでした。
「製品の仕様、強み、販売戦略がわからないとコミュニケーションのメッセージを決められない」と言う宮森に対して、ほかのメンバーは「私たちの目的はインパクトのあるプレゼンをすること」と言うのでした。
長期志向である日本人の宮森は、全体像をつかんでからでないとディティールに入っていくことができませんでした。一方、ほかのメンバーは短期志向の国の出身だったのです。
『経営戦略としての異文化適応力 ホフステードの6次元モデル実践的活用法』
宮森千嘉子/宮林隆吉 著
長期志向×達成志向の日本
短期志向は目の前の事象にフォーカスし、長期志向は全体像を見ようとします。
日本は、情熱をもって物事を極める達成志向に加えて、継続的に粘り強い努力をする長期志向も強い国です。さらに、不確実性の回避傾向が高く、これらが、ビジネスの成功に必要な要素となっています。
一方で、これらの要素が、スピーディーで革新的なチャレンジを阻害していることも理解しておく必要があるでしょう。
ホフステードの6次元モデルについてもっと詳しく知りたい方は、『多文化世界 違いを学び未来への道を探る [原書第3版]』G.ホフステード/G.J.ホフステード/M.ミンコフ 著 岩井八郎/岩井紀子 翻訳、『経営戦略としての異文化適応力 ホフステードの6次元モデル実践的活用法』宮森千嘉子/宮林隆吉 著 をご覧ください。
一般社団法人CQラボは、ホフステードCWQの日本オフィシャルパートナーとして、カルチャーに関してトータルな学びを提供しています。CQ®(Cultural Intelligence)とは…「様々な文化的背景の中で、効果的に協働し成果を出す力」のこと。CQは21世紀を生き抜く本質的なスキルです。Googleやスターバックス、コカコーラ、米軍、ハーバード大学、英国のNHS(国民保険サービス)など、世界のトップ企業や政府/教育機関がCQ研修を取り入れ、活用されています。
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