「日印蘭の教育をCQで紐解く」座談会開催!
子育て中でCWQ認定アソシエイト資格をお持ちの3名が、2026年2月4日に「日印蘭の教育を CQで紐解く座談会」を開催しました。日本在住の粟津瑞恵さん、インド在住の見上すぐりさん、オランダ在住の田中美華さんがオンラインで集結。ホフステードの6次元モデルの「不確実性回避とあいまいさの許容」「達成志向と生活の質志向」「短期志向と長期志向」の3つの次元を用いて、各国の「不登校」「教育カリキュラム」「宿題事情」を紐解きました。
日本の不登校はなぜ増えるのか
近年、日本の不登校児童数は増え続けていて、コロナ禍以降は特に顕著です。一方で学校の欠席率は国際的に見て極めて低く、「休まない圧力」が強い社会であることが示唆されます。
文部科学省の調査では、不登校の理由として「やる気が出ない」が最も多く、半数以上の生徒が選択しています。
達成志向と不確実性回避が生むプレッシャー
日本は達成志向が高く、学校では評価が周囲からわかりやすい仕組みになっています。
不確実性を回避する傾向が強く、子どもは失敗を避けたいため、うまくできないことや期待に応えられないことへの不安から、安心・安全な家にこもり、不登校へつながりやすい現状があります。
また、学級崩壊が先生の責任・失敗ととらえられやすく、問題行動を起こす子は支援級でわけるなどの分離をするケースも多いです。学級崩壊のリスク回避が優先され、不登校対応は限定的です。
ミスマッチ時の選択肢の少なさが不登校につながる
日本の小学校は約99%が公立で、学校を自由に選択することが難しい環境です。また、学校文化の多様性が乏しいため、子どもが学校に合わないなどのミスマッチが起きた際に移る選択肢が少なく、不登校になりやすい現状があります。
対照的に、オランダでは公的資金を受ける多様な学校が存在し、学校選択の自由度も高いため、合わなければ環境を変えることが一般的です。そのため不登校として問題視されにくい特徴があります。
インドは地域格差が大きく、都市部では達成志向が高い傾向で、他の学校の選択肢も存在します。地方だとミスマッチのときの選択肢が少ないようです。
インドの教育はアジャイルに進化する
日本の小学校は約99%が公立で、学校を自由に選択することが難しい環境です。また、学校文化の多様性が乏しいため、子どもが学校に合わないなどのミスマッチが起きた際に移る選択肢が少なく、不登校になりやすい現状があります。
対照的に、オランダでは公的資金を受ける多様な学校が存在し、学校選択の自由度も高いため、合わなければ環境を変えることが一般的です。そのため不登校として問題視されにくい特徴があります。
インドは地域格差が大きく、都市部では達成志向が高い傾向で、他の学校の選択肢も存在します。地方だとミスマッチのときの選択肢が少ないようです。
アップデートされ続けるインドの教育制度
ソフトウェア開発の世界に「アジャイル」という概念があります。完璧な計画を立ててから動くのではなく、小さく試してフィードバックを受けながら修正していく手法です。インドの教育制度は、これに近い発想で動いています。
カリキュラムの改定頻度が高く、常にアップデートされ続けるものとして教育が設計されています。2020年に行われた大規模な教育改革はその典型例です。完成してから展開するのではなく、実施しながら修正する方針が示されました。
試験は短期的な成果の指標として重視される一方で、「正解が一つに定まらない問い」にも比較的寛容。
失敗は回避すべきリスクではなく、学習プロセスの一部として受け入れられており、まずやってみることが重視されています。
また、インド教育では複数のカリキュラムが並存し、家庭や子どもの目的に応じて選べる仕組みになっています。
カリキュラム間を行き来することや進路変更、学年を下げての再入学も制度的に許容されています。「一度の選択で人生が決まる」という感覚が、日本と比べて薄いのです。
インド文化が導く教育改革と課題
歴史的に見ると、インドの教育はかつて「詰め込み型・一発試験型」の時代が長く続きました。高い権力格差、膨大な人口、行政人材の不足といった背景から、「公平性・効率性・管理しやすい制度」が優先されてきたためです。
しかし求められる人材像が変化し、インド本来の文化的特性「とりあえず試して、修正する」という感覚が教育改革の方向性と自然に結びついていきました。
現在は「何ができるか」を重視するコンピテンシーベースの教育が明確になり、試験も年複数回受験できる仕組みに改革されています。教育制度全体も管理型から柔軟型へ転換していきました。
ただし、インドの教育も良いことばかりではありません。改革スピードが速い分、現場がついていけず教育の質が安定しにくいという問題があります。
政策と現場の間にギャップが生まれやすいことは、インド教育の課題です。
オランダの教育はウェルビーイング型
ホフステード6次元モデルの「不確実性回避とあいまいさの許容」と「達成志向と生活の質志向」で見ると、日本とオランダは正反対の傾向にあります。
日本は達成志向と不確実性回避が突出して高い一方、オランダはあいまいさの許容と生活の質志向が高いです。こうした文化的特性がオランダの教育制度にどのように反映されているのかが紐解かれました。
宿題が少ないオランダの公立小学校
オランダの小学校では宿題が非常に少なく、毎日出ることはほとんどありません。
グループ5(Groep5)という日本の小学校3年相当の宿題内容はスペリングや軽い計算の反復が中心で、A4約6ページ分が1週間分程度。合計30分ほどで終わる量です。
また、宿題は評価されません。丸付けはせず、提出して終わりという扱いが一般的です。出さなくても叱られることはなく、家庭学習は自主性に委ねられています。
背景には「学習は学校で完結し、家庭は回復や生活の場」という考え方があります。
宿題の少なさは、達成や競争よりも日常の充実や人間関係を重視する「生活の質志向」が高いオランダ文化を反映しています。
放課後は家族との時間や遊び、スポーツ、地域活動に充てられ、子どもは「よく生きている存在」として尊重される文化です。宿題未提出でも「できない子」と評価されにくく、学校が安心できる場になりやすいのも特徴といえるでしょう。
一方で、家庭学習の量は家庭の方針に左右されやすく、学力差につながる可能性もあります。
柔軟な進路とやり直せる仕組み
オランダでは11歳頃に進路を決める必要があり、アカデミックを究めるコースや職業人を目指すことを前提としたコースなどから選択します。
全国テストの結果だけで決まるのではなく、先生・家庭・本人の意向を総合して進路を決定するため、テストへの過度なプレッシャーはありません。また、途中の進路変更も場合によっては可能で、時間はかかっても別ルートに移れる設計です。
また、発達や理解のスピードには個人差があることを前提とし、「今できなくても大丈夫」という感覚があり、やり直しが社会的に受け入れられています。
文化を知ると教育が見えてくる
日本・インド・オランダの教育を比較すると、その違いの背景には各国の文化的価値観が大きく影響していることがわかります。
達成志向と不確実性回避が強い日本、あいまいさを許容しアジャイルに進化するインド、生活の質を重視しやり直しを受け入れるオランダ。
正解は一つではなく、文化を知ることで、自国の教育の強みと課題をより立体的にとらえることができるのではないでしょうか。
参加者の声
終了後のアンケートでは、以下のような感想が寄せられました。
「各国の違いをCQを使って説明していただいて、なるほど!という気づきがありました」
「国によって歴史や文化、地理的な条件などさまざまな要件が異なるので、教育の見える部分だけを取り上げて多国間で比較することや優劣を問うようなことに疑問を感じていました。このセミナーでは、この国の教育は良い・悪いといった視点がなく、それぞれの国の状況が知れてよかったです。各国の背景も組み込まれてお話されていたので理解しやすかったです」
「オルタナティブスクールに通う児童も『不登校』に分類されていることを知り驚いた。日本は『不登校」』という言葉やステレオタイプにしばられすぎる面もあるのでは?と感じている。一方で、現実問題として、いわゆる『普通ではない教育』を選んだ際、親の負担や社会のサポートはどの程度か?というのも気になった」
「他国の教育事情を聴き、どこかでうまくいっている教育プログラムを、文化の理解なしにそのまま日本に導入することの難しさ、危うさを改めて感じました。その国での当たり前は、大勢の思い込みによって作られているもので、長い時間を掛けて文化になるのですよね。教育を通して感じる不満やモヤモヤは、私自身のCQも試されるし、CQを上げていく好機だなと強く感じました」
一般社団法人CQラボは、ホフステードCWQの日本オフィシャルパートナーとして、カルチャーに関してトータルな学びを提供しています。CQ®(Cultural Intelligence)とは…「様々な文化的背景の中で、効果的に協働し成果を出す力」のこと。CQは21世紀を生き抜く本質的なスキルです。Googleやスターバックス、コカコーラ、米軍、ハーバード大学、英国のNHS(国民保険サービス)など、世界のトップ企業や政府/教育機関がCQ研修を取り入れ、活用されています。
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